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「移住」か「残留」か。
選択肢は、二つ。
……すみません、数名勝手に名前だけ登場してます★
選択肢は、二つ。
……すみません、数名勝手に名前だけ登場してます★
エルフヘイムへの移住の話を聞いたラリマーたちは、今後どうするかを家族で話し合っていた。
「取りあえずラルとクーはさて置き、タンジェは残留だな」
アイスコーヒーをかき混ぜながらアステリアが言うと、クーリオはきょとんとしてタンジェリンを見た。
「なんでタンジェは残留なの?」
新緑の瞳が、真っすぐにアステリアを見つめている。
その瞳を見返し、アステリアは言葉を選んで紡ぎ出した。
「……タンジェは……俺の一族の要である星読みであり、長だ。そして俺の一族は……その…… ……地方領主でな。いや、元々は兄さんが跡継ぎだったけど、兄さんとお前らの従兄が死んで、俺が第一継承権持ちなんだけど、タンジェが星詠みに選ばれて、継承した時点で一族の中ではタンジェを次期長に。って言う意見が多くてな……」
「つまり、実はタンジェは地方領主なんで領主が領地放り出して出て行くなんて一族のみんなが赦さないってこと?」
「……極端に言えばそうなるな」
「大変だね」
「大変なんだ。タンジェが」
「うん、タンジェが」
アステリアとクーリオが頷き合うのを見て、タンジェリンは二人に向かって二人のスピカを投げつけた。
「あた」
「わきゅ」
セイとラグリマがアステリアとクーリオの頭にしがみつくのをみて、タンジェリンは少し気が治まったのか、テーブルの上に置かれた紅茶を取った。
「まぁ、俺は行けない。それは確定だ」
「……父さんと……母さんは……?」
長く伸びた前髪越しに真っすぐ見つめながらラリマーが問うと、アステリアは首を横に振った。
「俺達も無理だ。教職もあるし、俺はタンジェが成人するまで、代理領主を務め切らないといけない」
「え、お父さん代理領主なんてやってたの!?」
「やってたよ……。休日いないのは実家帰って溜まった書類処理してたりしてたからだよ……」
愛娘の発言に、アステリアは項垂れながら呟いた。
家族に-ラリマーとクーリオに-代理領主のことを言わなかったのは二人で決めたこと。とは言え、休日家にいなくても気にされなかったのは、父としては悲しい所だろう。
「取りあえず、私もアスも無理よ。でもね、ラルとクーは、選べるの」
項垂れているアステリアを放置し、いつものようにトレーネは微笑む。
「【移住】か【残留】か、好きな方を選びなさい」
そう、二人には選ぶ自由と、権利、そして責任がある。
「だけどどちらを選んでも、後悔しないようにしなさい」
「……」
そっと、ラリマーが深紅の瞳を閉じた。
もしここで残留を選べば、ガーディアンとなった少女はどうなるのか。共に過ごした仲間はどうなるのか。
同様に、クーリオも悩んでいた。
家族と離れるのは辛い。でも、最愛の人は、きっと移住を選ぶ。
「……今すぐ決めなくても良い。でもね、先にこれだけは言っておくわ」
「何……?」
「移住するなら、ラルと一緒に暮らしなさい。リオさんと同棲なんてまだ早すぎるわ。あ、なんならアンジュちゃんも一緒に住んでもらえば良いのよ。きっと楽しくなるわぁv」
にこにこと提案するトレーネに、ラリマーとクーリオはがくっと脱力してしまった。
「母さん。落ち着いて」
どうどう。とタンジェリンがトレーネを宥めると、クーリオは困ったように笑い、それからにっこり笑った。
「じゃぁ行ってみようかな。時間はかかるけど、帰ってこれるし」
「……じゃぁ……僕も……必然……?」
小さく首を傾げるラリマーに、クーリオは可愛らしい妹の表情でおねだりした。
「駄目?」
「……駄目って……言っても……無駄なくせに……」
「えへへv」
「……まぁ、すぐに行くわけじゃないだろう?向こうで住む所も探さないといけないし、すぐに一回は戻ってくる羽目になるさ」
「僕もそう思う」
ココアを飲みながらクーリオが笑うと、タンジェリンは困ったように微笑み、癖のない白髪を撫でた。
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(窓の外にちらりと影)
……私も移住決定か。
準備しておかないと。(いそいそと帰った)
無題
まぁ、アンジュがどうするかは自分で決めれば良いと思うけどな。
ラルは……元々放浪の一族の血を引いてるから、行くと思うけど。